一番好きなのは、キミだから
去年の入学式の日に、七星ちゃんと学校の廊下ですれ違ったあのときからずっと、俺は七星ちゃんのことが……。
「だから……俺と……つ、付き合ってくださいっ!」
俺は、中条にお辞儀するように下を向く。
……本番じゃないのに、つい叫ぶように言ってしまった。
しかも、噛んでしまったし。
「…………」
ていうか、中条の反応がないんだけど……。
「あの、中条……俺の告白、どうだった?」
「あっ。ご、ごめん。これが練習じゃなくて、本当にわたしへの告白だったら良かったのになって、思ってしまってた」
「中条……」
「うん。すごく真っ直ぐで良かったよ。スミくんに想ってもらえる、七ちゃんが羨ましいな」
無理して笑顔を作る中条に、胸がチクッと痛んだ。
今、中条にこんな顔をさせているのは俺のせいだ。
元々中条が提案してくれたとはいえ、それに甘えて自分が振った相手に、こんな練習なんて頼むべきじゃなかったよな。