一番好きなのは、キミだから
「……中条の気持ちに応えられなくて、本当にごめん」
俺は中条に、深々と頭を下げた。
「こればっかりは、しょうがないよ。それより! わたしが練習に付き合ったんだから。七ちゃんへの告白……絶対に成功させてよね?」
「ああ。中条……今日は悪かった」
「やだ。そんなに何度も謝らないでよ。これをスミくんにあげるから」
中条が俺に、青いリボンでラッピングされた白い箱を渡す。
「何これ?」
「開けてみて?」
中条に言われて俺が箱を開けると、中にはホワイトチョコレートが入っていた。
「このことは、もうこれっきり。白紙! 何もなかったってことで。そういう意味も込めて、スミくんにあげる。だから、今まで通り変わらず接してよ? ……友達として」
「ああ、もちろん。中条は俺にとって、これからもずっと、朝陽やナオと同じく大事な友達だ」
「ありがとう。それ、わたしからスミくんへの……最後の手作りお菓子。渡されても困るかもしれないけど。もし嫌なら、捨ててくれて構わないから」
『じゃあね』と言って、中条が振り返ることなく空き教室を出て行く。
中条。予めこのホワイトチョコを持ってきていたってことは、もしかして今日俺に告白しても振られるって分かっていたのか?
それなのに……勇気を出して、俺に想いを伝えてくれたんだな。