一番好きなのは、キミだから
「わぁ! ホワイトチョコレートだ! 美味しそう〜」
俺が箱を開けてみせると、それを見た奈紗が目をキラキラと輝かせた。
「ねぇ、お兄ちゃん。このチョコ、奈紗も食べて良い?」
「え? ああ、良いけど。夕飯前にお菓子食って、ご飯が食べられなくて母さんに叱られても知らないぞ?」
「大丈夫だよ。いただきまーす。
うわぁ、すごく甘くて美味しい〜」
チョコを口にした奈紗が、とても幸せそうな顔をする。
ああ、奈紗。表情があどけなくて、マジで可愛い。
妹は、七星ちゃんとはまた違う可愛さというか。
「美味いか? もっと食べて良いよ、奈紗」
「うん、ありがとうお兄ちゃん」
俺の分のチョコもやるから、その可愛い笑顔をもっと兄ちゃんに見せてくれ。
「あれ? お兄ちゃんは食べないの? お兄ちゃんも食べなよ。食べないと、チョコが悲しむよ?」
チョコが悲しむ……か。
「そうだな。俺ももらおうかな」
奈紗の頭をポンっと撫でると、俺は中条からもらったチョコをひとつ口に入れた。