一番好きなのは、キミだから
Sweet*4
◇すれ違う想い
6月に突入し、来週くらいにもいよいよ梅雨入りするだろうと天気予報で言われるようになった頃。
気づけば、1学期の期末テストまで残り2週間を切った。
「おはよう、七星ちゃん」
「お、おはよ……真宙、くん」
挨拶を返すと、あたしはさっさと席に着く。
「ねぇ、七星ちゃん。今日提出の、数学の宿題ってやった?」
真宙くんが、後ろからあたしの肩をトントンと叩いてくる。
「うっ、うん。やって来たよ?」
あたしは、スクールバッグから教科書やノートを机に出しながら、後ろを振り返らずに前を向いたままで答える。
「あのさ俺、問4の応用問題が難しくて解けなかったんだけど……七星ちゃんはできた?」
「あー。その問題はあたしもよく分からなかったから、答えに自信ないんだよね。だからあたしよりも、数学が得意な一之瀬くんに聞いたほうが良いんじゃないかな?」
嘘。本当は、問4は難なく解けたけど。
真宙くんとできるだけ関わりたくないあたしは、ついそんなふうに言ってしまう。