一番好きなのは、キミだから



だからクラスメイトとして、必要最低限の関わりだけを持つようにしている。


あたしからは、なるべく真宙くんに話しかけないようにしているのに。


「七星ちゃん、昨日のドラマ観た?」


あたしの気持ちなんて知る由もない真宙くんは、今までと変わらず話しかけてくれるから。


しかも、あたしが大好きな笑顔を向けてくれる。


「ごっ、ごめん。あたし、ちょっとお手洗いに……」


その度にあたしは、何かしら理由をつけて真宙くんから離れる。


ごめん、真宙くん。あなたを避けるようなことをしてあたし……すごく感じ悪いよね。


人として、失礼だよね。


本当は自分でも、ダメだって分かってるんだよ?


ああ。こんなことになるなら、せめて真宙くんに告白しておけば良かった。


潔く振られてしまえば、諦めもついたのに。


って、真宙くんにはもう彼女がいるんだから。


あたしは、振られたも同然だけど。


ただ、告白しないまま失恋するよりも、告白して自分の想いを真宙くんにちゃんと伝えた上で、失恋するほうがまだ良かったな。


後悔したって、もう遅いのに。


つい、そんなことを思ってしまうんだ。



< 181 / 248 >

この作品をシェア

pagetop