一番好きなのは、キミだから
「あれ。七星、もう食べないの?」
お昼休み。
いつものように、友達のみっちゃんと一緒に教室でお昼ご飯を食べていたのだけど。
あたしはお弁当がまだ半分残っているにも関わらず、お弁当箱の蓋をする。
「うん。ちょっと、食欲なくて」
「大丈夫? 七星、ここ最近あまり食べてないよね? もし何か悩みとかあったら、私で良ければ聞くからね?」
「ありがとう」
みっちゃんには真宙くんのことを、なんとなく話せていないままだ。
友達に、余計な心配をかけたくなくて。
「あっ、そうだ。七星に、これあげる」
そう言ってみっちゃんは、あたしの手のひらに飴をふたつのせてくれた。
ふたつの飴の個包装には『ファイト』
『えがお』とのメッセージが、それぞれ書かれている。
「それ " 元気が出る飴 " だから。舐めて、少しでも元気出して? 七星は、笑顔が一番だよ」
みっちゃん……優しいな。
「ありがとう、みっちゃん」
あたしはさっそく、もらった飴をひとつ口に含む。
『元気が出る飴』か。
確かに。口の中に広がる飴の優しい甘さと、飴の個包装に書かれた『ファイト』のメッセージに、少し元気が出たかもしれない。
あたしはみっちゃんに、心からの笑顔を向ける。
みっちゃんのおかげで今、久々に自然と笑えた気がする。ありがとう。