一番好きなのは、キミだから
……あ。
今、あたしたちの周りの空気が一変したのが分かった。
……まずい。つい言わなくて良いことまで、言ってしまった。
そう思ったときには、もう遅かった。
「……そっか。七星ちゃんがそう言うのなら、もういいよ。七星ちゃんなんか……知らねぇ」
冷たい声で言い放った真宙くんは、あたしの手首を掴んでいた手を離すと、グラウンドへと向かって足早に歩いて行った。
真宙くんにあんなにも冷たい声で言われたのは、初めてかもしれない。
優しい真宙くんも、さすがに怒ったよね。
あんなことが言いたかったわけじゃないのに……。
バイトの時間が迫っているにも関わらず、あたしはしばらくその場に立ち尽くしてしまうのだった──。