一番好きなのは、キミだから
◇俺の彼女
「はぁ、はぁ……お疲れ様ですっ」
真宙くんに引き止められたあのあと、あたしは走ってバイト先であるケーキ屋さんまでやって来た。
「七星ちゃん、お疲れ様。もしかして、走ってきたの?」
お店のレジ前であたしを迎えてくれたのは、バイトの先輩である莉奈さん。
「はいっ! 遅刻して、迷惑はかけられませんから。すぐに着替えて、入ります!」
「今は落ち着いてるから。そんなに急がなくても、ゆっくりで大丈夫だよ?」
「ありがとうございます。でも、莉奈さんもう終わりの時間なので」
莉奈さんに声をかけると、あたしは奥のスタッフルームへと移動し、バイトの制服に着替え始める。
真宙くんのことでモヤモヤを抱えている今、大好きなケーキに囲まれてバイトをしているほうが少しでも気が紛れる。
はずなんだけど……。嫌なことは、重なるものなのだろうか。
実は、好きな人に彼女ができたことで、精神的にダメージを受けて元気がないということ以外にも……
最近、あたしを悩ませていることがある。