一番好きなのは、キミだから



数日前にも、バイトが終わってあたしが店を出ると、森山さんに待ち伏せされていたことがあった。

そのままあたしの後をつけて、駅までずっとついてこられて……怖くて、生きた心地がしなかった。


そのときのことを思い出して、あたしは身震いする。


今日の学校帰りに、あたしの後ろをつけてきていたのも……森山さんだ。


「ご注文のショートケーキとプリン、箱にお詰めしますね」


「話、逸らさんといて欲しいなぁ。でも、新川ちゃん可愛いから許したる」


「……ありがとうございます」


何が『許したる』だ。森山さんの上から目線の言い方に、カチンときた。


だけど今はバイト中なので、顔には出さずに笑顔を意識する。

ここは頑張って営業スマイルだ、あたし。


……笑いたくないのに、笑わないといけない。

泣きたくても、泣けない。


仕事とはいえ、こんなとき辛いなぁ。



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