一番好きなのは、キミだから
「七星ちゃん!」
高校の制服姿の真宙くんが、お店の近くに立っていた。
「お疲れ様。待ってたよ。一緒に帰ろう」
ニコニコとそう言うと、真宙くんがあたしの手を取り、そこに自分のものを絡める。
え、これってまさか恋人つなぎ!?
「いきなり手繋いでごめん。実はさっきのアイツが、まだ近くにいるんだ。だから……」
真宙くんに小声で耳元で言われたあたしが後ろを振り返ると、物陰に隠れるように森山さんが立っていた。
……うそ。
森山さんの姿を視界に捉えた瞬間、あたしの肩がビクッと跳ねる。
「大丈夫だよ。俺が七星ちゃんを守るから」
真宙くんが、あたしと繋いでいる手をギュッと強く握りしめる。
……真宙くんの手、大きくて温かい。
真宙くんと一緒だと思うと、ものすごく安心する。
こうしてあたしと真宙くんは、急遽一緒に帰ることになった。