一番好きなのは、キミだから
あたしが頷くと、今度は真正面から両手で腰をきつく抱きしめられる。
真宙くんの温もりが、とても心地良い。
「あー、俺今すっげー幸せ」
「あたしも」
「なんか安心したら、小腹が空いたかも。あっ、そうだ」
真宙くんが思い出したように、声をあげる。
「これ、良かったら一緒に食べない?」
そう言って真宙くんが、先ほどケーキ屋さんで購入したレモンパイを箱の中から取り出す。
「え、でもそれは、奈紗ちゃんのために買ったんじゃ……?」
「ううん? 元々、2つのうちの1つは、七星ちゃんにと思って買ったんだ」
「そんな……でも、悪いよっ!」
「遠慮しないでよ。俺ら……恋人だろ?
俺が、七星ちゃんと一緒に食べたいの」