一番好きなのは、キミだから
真宙くんの口からさらっと出た『恋人』という言葉が、なんだか少しくすぐったい。
でも……そう言ってもらえてすごく嬉しい。
実は、あたしもお腹が空いてたんだよね。
「ひとりで食べるよりも、ふたりで一緒に食べるほうが何倍も美味しいしね。俺らが両想いになった、ささやかなお祝いってことで。はい!」
真宙くんが、レモンパイを笑顔であたしへと差し出してくれる。
「あっ、ありがとう。いただきます……」
真宙くんから受け取ったあたしは、レモンパイをさっそく口へと運ぶ。
そのとき、レモンの爽やかな風味が鼻を掠めた。
「あー。甘酸っぱくて、うめぇ」
隣を見ると、真宙くんがとても幸せそうな顔をしている。
「これ、めっちゃ美味しいね。七星ちゃん」
ほんと。パイ地がサクッとしていて。
レモンクリームの甘酸っぱさが、たまらなくおいしい。
真宙くんの笑顔を見ていると、こっちまで自然と笑顔になるなぁ。
「あ。七星ちゃん、良い笑顔。やっぱり七星ちゃんは、笑顔が一番だよ。可愛い」
真宙くん、またそんなさらっと可愛いだなんて。