一番好きなのは、キミだから
「あれ? 新川さん!?」
「あ、ほんとだ。七星ちゃんじゃん」
お店のドアベルが鳴り、来店したのは同じ高校のクラスメイトの男子2人組。
特別仲が良いわけではないけど、学校で会ったときはいつもあたしに声をかけてくれる。
「七星ちゃん、今日もまじ可愛いー」
明るい茶髪に、両耳にはピアスをしているせいか、少しチャラそうに見える東尾くんと……
「ほんと。テスト前だから、新川さん今日バイト休みだと思ってたから……会えてラッキー」
嬉しそうに笑うのは、野球部で坊主頭の山岸くん。
ふたりはこの辺りに住んでいるらしく、たまにケーキを買いに来てくれる。
「ふたりともありがとう。お世辞でも嬉しいよ」
「いやいや。俺らはお世辞で言ってるんじゃないよ。なぁ? 東尾」
「そうそう。俺たちは、七星ちゃんのファンだから」
「ふふ、ありがとうございます」
クラスメイトとはいえ、お客様にそう言ってもらえると有難いな。
「あっ、そうだ。俺らこのあと、図書館でテスト勉強するんだけど。良かったら、その……新川さんも来ない?」