一番好きなのは、キミだから
「どうしたんだろう。急に顔色が悪くなっていたけど……大丈夫かな? 東尾くんと山岸くん」
あたしは、ふたりが外に出て行ったドアのほうをじっと見つめる。
「たぶん、大丈夫じゃないかな? 同じ女の子を好きになった男として、東尾と山岸の気持ちは分からなくはないけどさ……七星ちゃん」
「なぁに?」
「俺、人の心配をする優しい七星ちゃんも好きだけど……そろそろ俺のことも見てよ」
え?
視線をお店のドアから真宙くんのほうへ向けると、ケーキのショーケースの向こう側に立つ真宙くんが、真っ直ぐあたしのことを見ていた。
「今は他の男のことなんて、考えんなよ……七星」