一番好きなのは、キミだから
そうだったんだ。真宙くん、わざわざあたしに会いに来てくれたんだ。
どうしよう……嬉しい。
「そしたら、東尾と山岸が先に来てて。ふたりと仲良さそうに話す七星ちゃんを見てたら、なんか妬けたっていうか。俺の七星ちゃんなのに……って」
口元を手でおさえた真宙くんが、耳まで赤くさせている。
「ごめん。接客も大事な仕事なのに、こんなこと言って」
「ううん」
もしかしてこれが、俗に言うヤキモチっていうやつかな?
「七星ちゃんって、学校の男子からけっこう人気なんだよ?」
「うそ!?」
「ほんと。それに、ここのケーキ屋のお客さんの中でも七星ちゃんのファンは多いんだよ? だから……俺、心配で」
真宙くん……。
「大丈夫。あたしには、真宙くんだけだから。いつも、真宙くんのことしか見えてないよ」
「七星ちゃん。それは、俺も同じ」
真宙くんはふわっと笑って、あたしの頭を優しく撫でる。
「テストが終わって落ち着いたら……デートしようね」
「うん」
「七星ちゃん、どこに行きたいか考えといて?」
「わかった。今日は、会えて良かった」
「俺も。バイト、頑張って」
期末テストが終わったら……真宙くんとの初めてのデートが待っている。
真宙くんと一緒なら、きっとどこに行っても楽しいんだろうなぁと思いながら。
あたしは、お店を出て行く真宙くんに手を振った。