一番好きなのは、キミだから
そんなときだった。
雪乃ちゃんの手前、一度は離したあたしの手を、真宙くんが隣でギュッと力強く握りしめてくれた。
「うん。そうだよ、中条。今日は、俺と七星が付き合って初めてのデートなんだ」
先ほど、「デート?」と尋ねた雪乃ちゃんに真宙くんが答える。
「そっか、デート……。スミくんが、幸せそうで良かった、今まで学校でなかなか会えてなかったから、ずっと言えてなかったけど。七ちゃんも……ほんと良かったね」
雪乃ちゃんはそう言ってにっこり笑ってくれるけど。
やはり、どことなく切なげで。
あたしはそんな彼女を見て、胸がチクリと痛んだ。
「あの。雪乃ちゃん……ごめんね?」
友達だけど、恋のライバルでもあった雪乃ちゃんに、あたしは謝らずにはいられなかった。
「どうして七ちゃんが謝るの? わたし、前に言ったよね? “ どちらかがスミくんと両想いになったとしても、恨みっこなしね? ”って。だから……スミくんと両想いおめでとう」
雪乃ちゃんが、あたしをギュッと抱きしめてくれる。
「わたしの分まで、スミくんと沢山幸せになってくれなくちゃ。それこそわたし、七ちゃんのこと許さないから」