一番好きなのは、キミだから
「……うん。雪乃ちゃん、本当にありがとう」
あたしも、雪乃ちゃんを正面からギュッと抱きしめ返す。
雪乃ちゃんに『おめでとう』と言ってもらえたあたしは、嬉しさで涙腺が緩みそうになる。
「ねぇ、七ちゃん。前に言ってた駅前のクレープ屋さん。来週あたりにでも行こうよ」
「うん。あたしも雪乃ちゃんと行きたい」
「えっ! なになに、クレープ!? それなら俺も一緒に行きたい」
真宙くんが、「はいっ!」と元気よく右手をあげる。
「スミくんはダーメ! 次はわたしが、七ちゃんとデートするんだから」
「中条、まさかお前も七星のこと……?」
「もちろん、大好きだけど? 今となっては、スミくんにも負けないくらいにね」
雪乃ちゃんが真宙くんに、ぱちっとウインクする。
「ふふっ。あたしも……雪乃ちゃん大好きっ!」
今まで誰にも言ってなかったけど、本当は怖かったんだ。
あたしが、真宙くんと両想いになれたなら。
雪乃ちゃんとはもう、以前のように友達として話せなくなるんじゃないかって。ずっと、不安だった。
だけど……今日こうして、雪乃ちゃんと会って。今まで通りに話せて良かった。
優しい言葉をかけてくれた、雪乃ちゃんのおかげ。
もしもあたしが真宙くんを好きになっていなければ、雪乃ちゃんともこうして友達にはなっていなかったかもしれない。
そう考えると、人と人との出会いや繋がりって本当に……奇跡だね。