一番好きなのは、キミだから
「七星、もしかして照れてる? 頬が赤くなってるよ」
真宙くんがこちらに手をのばし、あたしの頬を人差し指でツンツンと突いてくる。
「照れてる七星ちゃん、かわいいなぁ」
真宙くんが目を細める。
「真宙くん。さっきから可愛いしか言ってない」
「だって、本当のことでしょ? どれだけ見ても見飽きないくらい、七星は可愛いんだから」
そう言って真宙くんは、あたしのことをじーっと見つめてくる。
「もっ、もう! 真宙くんってば、そんなにじっと見ないで……ねぇ、早くケーキ食べよう?」
彼氏に可愛いって言ってもらえるのはもちろん嬉しいけど。こう何度も続けて言われると、なんだか照れくさい。
あたしはスマホでケーキの写真を撮ると、フォークを手にしケーキを食べる体勢に入る。
「真宙くん。あたし、桃のケーキ食べても良い?」
「うん。七星の好きなのをどうぞ」
「ありがとう。それじゃあ……」
いただきますと手を合わせると、あたしはケーキにフォークを入れる。
うわ、フォークが抵抗なくすっと入っていく。桃の香りも良いなぁ。
「んーっ、美味しい〜。ほっぺが落ちちゃいそう」
いつも思うけど、美味しいものを食べてるときって本当に幸せだ。
すると突然、真宙くんがあたしの頬へとそっと手を添えてきた。