一番好きなのは、キミだから



「七星、もしかして照れてる? 頬が赤くなってるよ」


真宙くんがこちらに手をのばし、あたしの頬を人差し指でツンツンと突いてくる。


「照れてる七星ちゃん、かわいいなぁ」


真宙くんが目を細める。


「真宙くん。さっきから可愛いしか言ってない」

「だって、本当のことでしょ? どれだけ見ても見飽きないくらい、七星は可愛いんだから」


そう言って真宙くんは、あたしのことをじーっと見つめてくる。


「もっ、もう! 真宙くんってば、そんなにじっと見ないで……ねぇ、早くケーキ食べよう?」


彼氏に可愛いって言ってもらえるのはもちろん嬉しいけど。こう何度も続けて言われると、なんだか照れくさい。


あたしはスマホでケーキの写真を撮ると、フォークを手にしケーキを食べる体勢に入る。


「真宙くん。あたし、桃のケーキ食べても良い?」


「うん。七星の好きなのをどうぞ」


「ありがとう。それじゃあ……」


いただきますと手を合わせると、あたしはケーキにフォークを入れる。


うわ、フォークが抵抗なくすっと入っていく。桃の香りも良いなぁ。


「んーっ、美味しい〜。ほっぺが落ちちゃいそう」


いつも思うけど、美味しいものを食べてるときって本当に幸せだ。


すると突然、真宙くんがあたしの頬へとそっと手を添えてきた。



< 242 / 248 >

この作品をシェア

pagetop