一番好きなのは、キミだから
「ねぇ。お兄ちゃんの好きな女の子が、メッセージ書いてくれたのなら……このチョコのプレートは、お兄ちゃんにあげる」
……え?
「いいのか? 奈紗の誕生日のプレートなのに」
「いいよ、譲ってあげる。お兄ちゃんが食べなよ」
「サンキュ」
俺は、奈紗の頭をもう一度撫でた。
「それじゃあ奈紗、兄ちゃんと半分こしよっか」
そのあと、奈紗と分け合って食べたメッセージ入りのチョコは、いつも以上に甘く感じた。
そして……この日以降、七星ちゃんに会いたいがために、俺が母さんの代わりに家族で週末に食べるケーキを買いに行くようになったのは、言うまでもない。