一番好きなのは、キミだから
「俺、古賀ちゃんのこと狙っちゃおうかなー」
──ズキン。
胸が刃物で刺されたみたいに、とてつもなく痛い。
「真宙、美月を狙うってどういうつもり? 遊びならやめとけよ?」
みっちゃんのことが好きな一之瀬くんが、真宙くんをキツく睨みつける。
「やだなー朝陽、冗談だよ。
大丈夫。俺、他に好きな子がいるから」
他に、好きな子がいる……。
そっか。真宙くん、好きな子がいるんだ。
それはそれで、けっこう傷つくかも。
真宙くんの『好きな子』の言葉に反応し、俯いていたあたしが顔を上げ、真宙くんのほうを見ると……。
「……っ」
真宙くんが、真っ直ぐあたしのことを見ていた。
うそ……。