一番好きなのは、キミだから
後ろから、真宙くんの声が聞こえた。
「七星ちゃん、今帰り?」
「うん。真宙くんも?」
「そうだよ。朝陽がなんか、無理言っちゃったみたいでごめんね?」
「ううん」
あたしは、ブンブンと首を横に振る。
一之瀬くんの、好きな人と一緒に帰りたいっていう気持ちは、すごく分かるから。
あたしも……できれば真宙くんと一緒に帰りたいけど。
「「あ、あの」」
え!?
真宙くんとあたしの声が、タイミングよく重なってしまった。
「ま、真宙くんからどうぞ?」
「ありがと。えっと……もし良かったら、俺らも一緒に帰らない?」
えっ!
まさに今、あたしが言おうとしていたことと同じ。まさか真宙くんから、誘ってもらえるなんて……。
「あたしもそう言おうと思ってたから、嬉しい。いいよ、一緒に帰ろう」