一番好きなのは、キミだから
それから学校の最寄り駅に着いてすぐ、ホームにやって来た電車に2人で乗り込む。
「七星ちゃん。あそこの席、空いてるから。一緒に座ろ」
「う、うん」
電車の空いてる2人分の席に、真宙くんと隣り合わせで座る。
きょ、距離が近い……。
電車が揺れるたびに、お互いの肩が触れて。けっこうな密着にドキドキする。
バクバクしているあたしの心臓、駅に着くまでもつかな?
そう思ったけど、電車の揺れが妙に心地よくて。
春休み明けで、今朝は久しぶりに朝早起きしたからか。
はたまた、バイトの疲れが残っていたのか。
しばらくしてあたしは、ウトウトしてきた。
「七星ちゃん、もしかして……眠いの?」
「あ……」
真宙くんの隣にいるのに。寝たらダメだ。
目を閉じそうになっては、頑張って開くけれど。どうしても、まぶたがまた落ちてくる。
ああ、もうダメだ。
ついに睡魔に負けたあたしは、無意識にコクコクと船を漕ぎ出してしまう。
すると、真宙くんがあたしのこめかみにそっと手をのせ……
「七星ちゃん。俺の肩、貸してあげる」