一番好きなのは、キミだから
「ありがとう、七星ちゃん。ちなみに、来週の土曜日もシフト入ってる?」
「うん。14時から入ってる」
「そっか。じゃあまた、来週も部活終わりに来るね! 七星ちゃんに会いに」
「えっ! あ、はい! いつもありがとうございます!」
お会計が終わると、真宙くんがケーキの箱を持ってお店を出て行く。
ああ、これで今日はお別れか……。
春休み中だから、またしばらく会えないなと少し寂しく思ったとき。
ドアを開けて店の外に出た真宙くんが、足を止めてこちらを振り返った。
「あ、そうそう。俺、忘れ物があったわ」
忘れ物……?
あたしはキョロキョロと辺りを見回す。
特にそういったものは、見当たらないけれど……。