一番好きなのは、キミだから


手?


真宙くんに言われるがまま、あたしが手のひらを差し出すと……。


「はい、これ。今日、俺に付き合ってくれたお礼」


真宙くんが、あたしの手のひらにのせてくれたのは……


クマのぬいぐるみの耳のところに、桜の花がついたキーホルダー。


「これ……」


あたしがさっきお店で手に取って、欲しいなと眺めていたぬいぐるみのキーホルダー。


「七星ちゃんに、プレゼント」


「そんな……もらっちゃっていいの?」


「もちろん。良かったらその子も、七星ちゃんのコレクションに加えてあげてくれる?」


真宙くん……。


胸の奥が、じんわりと温かくなっていく。


好きな人からの思わぬプレゼント。
ものすごく、感激だ。


「ありがとう! 大事にするね」


宝物が、ひとつ増えた。

このクマのぬいぐるみキーホルダー、大切にしよう。


そして明日から、さっそくスクールバッグにつけていこう……。


そう思った。



< 54 / 248 >

この作品をシェア

pagetop