一番好きなのは、キミだから
「ねぇ、七星ちゃんの笑顔を俺にちょうだい?」
え、あたしの笑顔??
一瞬、あたしの頭の中にはクエスチョンマークがいくつも浮かんだ。
まさか、忘れ物って言うのは……。
「俺、七星ちゃんの笑顔……大好きなんだよね。見てるだけで癒されるっていうか……」
「……っ」
『俺、七星ちゃんの笑顔……大好きなんだよね』
って、うわ〜〜! あたしの笑顔が大好きって。
好きな人にそんなことを言われたら、どんな顔すれば良いの? やばいんですけど。
あたしは、にやけそうになる自分の口元をおさえる。
でも、すごく嬉しい……!
こういう販売の仕事をしていると、お客様に褒めてもらえるとすごく仕事の励みになる。
「ありがとう! 真宙くん。来週もまた、お待ちしていますね」
あたしは、彼に心からの笑顔を送る。
「こちらこそ、素敵な笑顔をありがとう。
実は明日の日曜、サッカー部の試合があるんだ。七星ちゃんのおかげでめっちゃ癒されたから、頑張れそう」
サッカーの試合……か。できれば見に行きたいけど、明日もバイトだ。
「あ! 来週から学校始まるけど。
2年生でのクラス替え、俺ら同じクラスになれてると良いね」
彼もあたしに、とびきりの笑顔を見せてくれると、手を振ってお店を出て行った。