一番好きなのは、キミだから
「奈紗ちゃんには、プレゼント渡せた?」
「ああ。めちゃくちゃ喜んでた。七星ちゃんのおかげだよ」
「ふふ。良かった」
七星ちゃんはひと通り話し合えると、読んでいる文庫本に視線を戻す。
本の世界に戻った七星ちゃんの、邪魔をしてはいけない。
俺は耳にイヤホンをして、昔からずっと好きなバンドの音楽を流す。
七星ちゃん、何の本を読んでいるんだろう?
文庫本にはブックカバーがかけられているから、タイトルが見えない。
俺は、七星ちゃんのことをもっと知りたい。
本以外に、何が好きなのか。
どんな男が、タイプなのか。
そういや、七星ちゃんって今……好きなヤツとかいるのかな? 聞いたことなかったな。
ていうか、本だけでなく俺にももっと興味を持って欲しい。