一番好きなのは、キミだから
ていうか、七星ちゃん。今日は、ポニーテールなんだ。うなじ……見えてるし。
俺は、ゴクリと溜まった唾を飲み込んだ。
七星ちゃんはバイトのときはいつも、髪をひとつに束ねているけど。
ケーキ屋さんでは、正面からしか七星ちゃんを見ていないから。うなじをちゃんと見たのは、今日が初めて。
肌が本当に白くて、きれい。
普段は髪をおろしている七星ちゃんが、アップにしてうなじが見えると、隠されている部分を見せてもらったような気になってしまう。
嬉しくて、触れてみたくなった。
ここだけの話。
つい、七星ちゃんのうなじに手が伸びかけたけど……なんとか引っ込めた。
ダメだ。彼氏でもないのにこんなことをしたら、きっと嫌われる。
だから。触れたいけど、見るだけに留めておく。
それにしても……俺が、七星ちゃんの後ろの席で良かった。逆じゃなくて良かった。
俺だったら、後ろに自分の好きな子がいて。授業中、どうしても見られると考えただけでドキドキしてしまうから。
それに後ろだと、授業中はいつも七星ちゃんの姿が視界に入るし。
黒板を見るフリをして、ずーっと見ていられるって最高。