一番好きなのは、キミだから
はぁ……真宙くん、今日もかっこよかった。
胸のドキドキは、まだしばらくおさまりそうもなくて。
バイト中だというのにあたしは、いま真宙くんの出て行ったドアのほうを、じーっと見つめてしまう。
バイト中だけど。本当は、ダメだってよく分かっているけど。
ほんの少しだけ、余韻に浸るのを許してください。
*
「七星ちゃん! 今日は、17時までだよね? 時間だから、あがってね?」
同じ販売のアルバイトの先輩・鈴谷 莉奈さんに声をかけられ時計を見ると、バイト終了時刻の17時を過ぎていた。
「あれ? 七星ちゃん、顔が少し赤くない?
もしかして、例の彼?!」
にやにや顔の莉奈さんに聞かれる。
……う。当たりだ。
あたしって、そんなに分かりやすいのかな?
「はい……さっき真宙くんが買いに来てくれました」
「どうりで! あ、七星ちゃん。ほっぺが更にピンクになってる! いつも可愛いのが、更に可愛い〜」