一番好きなのは、キミだから
「あー! 澄野くんが新川さんと、イヤホン半分こしてるー!」
同じクラスの真宙くんファンの女の子が、あたしたちを見て叫ぶように言った。
その声で一気に、現実の世界へと引き戻される。
「ほんとだー。新川さんが真宙くんと……やだ〜」
あ。他の子にこんなところを見られたら、まずいよね。あたしは良くても、真宙くんが良くない。
あたしが右耳のイヤホンを、急いで外そうとしたとき……。
あたしのイヤホンを持つ手を、真宙くんに掴まれた。