一番好きなのは、キミだから
困る……そうだよね。
真宙くんは、他に好きな子がいるんだから。
あたしと、そんなふうに言われたら……。
「だってさ。こんな他の皆のいる教室で、七星ちゃんと " お似合い " だなんて言われたら……嬉しすぎて俺、ニヤケが止まんなくなるから……困る」
真宙くんが、手の甲で口を押さえる。
「え!?」
「ん? 俺なんか変なこと言った?」
真宙くんが、首を傾ける。
「いや……真宙くんって、好きな子がいるんでしょう? だから……他の子にあたしと誤解されるようなことを言われたら……」
「うん、いるよ? 好きな子」
真宙くんの口元が、イヤホンをしていないほうのあたしの左耳に近づいてくる。
「なんか、もし勘違いとかされてたらイヤだから言っとくけど。俺の好きな子は……」