一番好きなのは、キミだから
好きな子は……?
「な…… 「スミくーん!」
「……!?」
真宙くんの話を遮るように、教室の扉のほうから女の子の大きな声が聞こえた。
それと同時に真宙くんは、あたしの耳から「ごめんね」とイヤホンを慌てて外した。
「中条! どうした?」
「ねぇ、スミくん。今日数学の授業ってある? わたし、教科書忘れちゃって……」
上目遣いに、真宙くんを見る中条さん。
「数学なら、今日の3限目にあるけど……」
「ほんと? 良かったら、貸してくれない?
あの数学の先生、忘れ物に厳しいから」
「ああ、いいよ。はい、持ってけよ」
「ありがとう! 助かる〜!」
手を振りながら、真宙くんの教科書を持って去って行く中条さんに、真宙くんも手をヒラヒラと振っている。