一番好きなのは、キミだから
◇俺のワガママ
翌日。
「七星ちゃん」
後ろから愛しい人の優しい声が聞こえ、肩を指でツンツンされる。
「俺さっきの板書、最後のところ写し損ねたから。良かったらノート見せてくれない?」
後ろを振り返ると、真宙くんが困り顔で両手を自身の顔の前で合わせていた。
それを見ただけで、あたしの胸がとくんと鳴った。
「うん、良いよ」
あたしは、先ほどの2限目の英語のノートを真宙くんに渡す。
「サンキュ。ほんとあの英語の先生、授業終わったら黒板消すの早すぎ! 最後の部分だけだから、今のうちに写しちゃうね」
真宙くんがシャーペンを手にし、あたしのノートを広げて自分のノートに写し始める。
「七星ちゃんのノート、きれいにまとめてあって見やすいね」
「そっ、そうかな?」
真宙くんに褒めてもらえると、何でも嬉しい。
「スミくーん!」