一番好きなのは、キミだから
「あ、いや……」
あたしは、真宙くんから顔を逸らす。
いつの間にか、中条さんの姿が教室から消えていた。
「髪の毛、どうかした?」
真宙くんが、心配そうに聞いてくれる。
……話して良いかな?
「あの、大したことじゃないんだけど。
さっき中条さんが、真宙くんはショートヘアの女の子が好きっていう話をしていたから……あたしも髪を切ろうかな? って」
「え! もしかしてそれを聞いて、気にしてたの?」
「うん……」
「マジ? それって七星ちゃん、まるで俺のこと……いや」
途中で何かを言うのをやめ、真宙くんの長い指が私の髪をそっと撫でた。
「俺、七星ちゃんには髪……切らないで欲しいな」
え?
「だってこんなにきれいな髪、切るなんて勿体ない。それに、俺がショートヘアが好きっていうのは、あくまで中学の頃の話だよ?
今は……七星ちゃんが、俺の好みだから」