一番好きなのは、キミだから



「え? あたし?!」


「うん。七星ちゃんが、俺のタイプ。だから七星ちゃんは、そのままでいて?」


「分か……った」


このままで良いんだ。『七星ちゃんが、俺のタイプ』って……。

そんなふうに言ってもらえて、すごく嬉しい。


「ちなみに、俺が中学の頃にショートヘアが好きって言ったのは……妹の奈紗の髪型だからだよ」


「奈紗ちゃんの?」


「うん。中学3年のときに中条に、女子の好きな髪型を聞かれたときに、とっさに思い浮かんだのが、奈紗の髪型だったってだけで。

今の俺の好きな髪型は、好きな女の子の髪型……だから。今はショートヘアよりも、ふわふわのロングヘアが好き」


そうだったんだ。


……あれ? 真宙くん今、あたしのこと見てた?


「髪の毛と言えば、七星ちゃん。学校では髪結ばないの? その……ツインテール」


……ツインテールといえば。


高校1年の夏に、学校の廊下を歩いていたとき。

真宙くんが、教室の廊下側の窓から身を乗り出して、『七星ちゃん。そのツインテール、めっちゃ似合ってる! すっげー可愛い!』って、言ってくれたことがあったな。



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