一番好きなのは、キミだから
グラウンドへ着くと、そこはサッカー部の応援に来ている女子で溢れていた。
「キャー! 一之瀬くーん」
「王子様〜!」
予想通り、人の数がもの凄い。
1学年10クラスの女子全員が、ここに集まっているんじゃないか? とさえ思ってしまうほど。
ほとんどが学校の王子様・一之瀬くん目当ての人だろうけど。
サッカー部は、かっこよくてモテる男子が多いから。
でも、負けちゃいられない。
昨日、真宙くんに応援に行くって言ったんだから。
「ごめんなさい。通してください……!」
あたしは、人混みの中をかき分けて行く。そしてなんとか、一番前まで行くことができた。
真宙くん……どこだろう?
グラウンドを駆けまわるサッカー部員は、それぞれ赤と白のビブスを身につけている。
どうやら、部内紅白戦の真っ最中らしい。
真宙くんは……あ、いた……!
サッカー部のユニフォームの上から赤のビブスを身につけた真宙くんは今、懸命にボールを追いかけていた。
真宙くん、かっこいい……!
初めて、グラウンドのすぐ近くで見る部活中の真宙くんは、いつも以上に輝いていた。