ツンデレ魔王様と同居生活はじめます。
「かっこいい…そうですかねぇ?好きなもの飲んだらいいと思いますけど…」
「お前にはわかんねーんだよ」
新しいいちごミルク片手に、私の正面の席にドカッと腰をおろす魔王。
「お前ら庶民にはな」
「庶民今関係あります?」
「大ありだ。俺みてーな…
生まれながらに身分が保証されてる奴は、それ相応のヒンカクってやつが求められんだよ」
そう言いながら、魔王がストローをプスッと飲み口に突き刺す。
「物心ついたときからずっと、周りが俺を見る目は“跡取りとしてふさわしいかどうか”それだけだった」
ふ、とどこか自虐的な笑みを浮かべる魔王。
「自分の好きなもんとか、俺の意思なんてどーだってよくて。
ただ、周りから見て認められる奴になれって言われてきたし……刷り込まれてきた」
なぜか魔王はいちごミルクには口をつけず、
どこか遠くを、見ているような表情をする。
「それが俺の生きる価値だって」