ツンデレ魔王様と同居生活はじめます。
びびる私の隣で、「よろしく~ホウジ茶くん~」と嵐くんが魔王に声をかける。
「俺は赤井嵐!一応一週間くらいだけど先輩だし?超絶頼っていいから!」
そうだ、忘れてたけど嵐くんは元体育会系イケメン。
後輩には「頼れる先輩キャラ」スタンスでいくらしい。
魔王の顔がわずかに曇った。
「…おまえが“嵐”か」
「え?」
「……よろしく」
魔王が右手を嵐くんに差し出す。
あれ、魔王ってこんなに友好的な人だっけ!?
目を白黒させる私の前で、嵐くんが「よろ~」と軽いノリで魔王の手を握った。
その刹那、
ぐぎぎぎぎ、と、絶対に握手からは聞こえてはいけない音が聞こえてくる。
…なんか魔王の手、青筋浮き出てない?なんか…今嵐くんの手からボキッて不吉な音が聞こえたような!?
「ちょっ魔お…宝示さん!?」
「ふん」
乱暴に手を離した魔王が、私に威圧感たっぷりの視線を落として。
「とっとと仕事教えろよ、先輩」
とても仕事教えてもらう人の態度じゃないんですけど…。