ツンデレ魔王様と同居生活はじめます。
「はいっ!はいはーい!ここにいまーす!」
「ちょっ佑奈!?」
勝手に私の右手をつかんで挙手させる佑奈!
「何すんの!?」
慌てて手を引っ込めて聞くと、興奮気味の佑奈が「だって!」と小声でまくしたててきた。
「魔王のご側近の宮前様だよ!?お近づきになれるチャンスじゃん!?何でりの探してるのかは知らないけど!」
「それが怖いんじゃん!
全然心当たりないよ、魔王のご側近に捜索される心あたり…なんて…」
その時、ふ、と太陽の光が遮られて、目の前が微かに暗くなったのがわかった。
恐る恐る顔をあげると
「北浜りの。こっちに来い。至急確認したい事案がある」
いつの間にかすぐ目の前に立った宮前龍太郎が、メガネの奥から冷静な瞳で見下ろしていた。
「か、確認したい事案、とは…?」
「…大したことじゃない。お前に説明する価値もないほどのな。来い」
「うわっ!」
ガシッと私の腕をつかむと、問答無用の勢いで私を引っ張りあげる宮前龍太郎。
そして教室のドアに向かってズルズル引きずられていく。
「ゆ、佑奈、助け…!」
「宮前様のお取り調べを受けられるなんて羨ましい…ファイト~♡」
「はぁっ?何言って…」
ガシャンッ!と、佑奈の心底羨ましそうな表情を最後に、教室の風景は強制的にシャットアウトされた。