ツンデレ魔王様と同居生活はじめます。
「やめてっ!」
「っ!?」
左頬に走った強い衝撃。
目の前がひどく歪んで
気づいたらコンクリートの上に倒れこんでいた。
「っおい、何してんだよ…!!」
急いで誰かに上半身を抱きおこされる。
ひどく焦ったように私を見下ろすその人は
「魔…宝示、さん…ダメですボーリョクは…」
「っだからって急に出てくんなよバッカじゃねえの!?」
言葉はすごく乱暴なのに
指先がまるで壊れ物に触れるかのように優しく、私の口元に触れる。
「…口、きれてんじゃねーか…」
「あー…どうりで口の中血の味がするなと」
「もう喋んな」
私の言葉を遮った魔王が私を強い力で抱き上げる。ってこれ…お姫様抱っこ!?
「お、おろして恥ずかしいっ…」
自力で降りたいけど、さっきの衝撃のせいか頭がフラフラして体に力が入らない。
「暴れんな。黙って俺につかまってろ」
そんな私をいなすように
ギュ、と私を抱く手に力がこめられた。