ツンデレ魔王様と同居生活はじめます。





「………」


「………」




魔王の出て行く用事がなくなったため、


パイプ椅子に座る魔王と、ベッドに上半身を起こして座る私を沈黙が包む。




「…あのー…」




というわけで、私は最近ずっと聞きたかったことを、勇気を出して聞いてみることにした。




「最近よく唱えてる“リ”って、何の呪文なんですか?」



「…は?」




わけがわからない、とでも言いたげな怪訝そうな顔をする魔王。





「あの“リ”を連呼するやつです。しかも私の顔をガン見しながら言う…」



「はぁ?お前何言って………、あ」





はた、と魔王の動きが止まった。



そして、なぜかみるみるうちに顔が真っ赤に染まる。




え、え!?





「ど、どうしたんですか?急に気温上がりました?」



「ばっ…べ、ば!?」





新たな呪文を唱える魔王。




「え…なんですかソレ」



「そっ…ば、ばっかなこと言ってんじゃねーよ!!」





心なしか声が上ずっている。





「べつに、そんな、呪文とか唱えてねーし、おっ俺を挙動不審な不審者みたいに言うんじゃねーよ、あ゛ぁ!?」




と言いながら病室の中を激しく右往左往する魔王は挙動不審以外の何ものでもない。




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