ツンデレ魔王様と同居生活はじめます。
嵐くんの話を黙って聞く私の心臓が、ドクドクと不穏な音を刻んでいる。
「…女を惚れさせるだけで50万。悪くねーって思った。昔からわりとモテたし。
惚れさせても付き合えとは言われなかったから、落とした後はアイツらに好きにすればって言った。そしたら、こんなゴミのような奴らにくらい、仲間に入れてもらえんのかなって。なにより暇だったし」
バキッと、今度は隣から不穏な音が聞こえた。
見ると、魔王の手には折れたボールペンが。
え、これってお客様アンケートの隣に備え付けられてたボールペン…だよね?
「…安心しろ」
私の視線に気づいたらしい魔王が嵐くんを睨みつけたまま口を開く。
「お前がビビりそうだから、さすがにこのゴミにも、ここまではしねーよ」
このゴミって嵐くんのこと、だよね…
もしや魔王の件で警視総監を呼び出すことになったらどうしよう。
内心冷や汗をかきつつ、
「その、お金をくれるって言ってた男の人とは、今も連絡とってるんだよね?」
嵐くんに聞く。