ツンデレ魔王様と同居生活はじめます。
「どんだけお人よしなんだよ、おまえ」
ファミレスからの帰り道、隣を歩く魔王が不満そうな声を漏らす。
「ふつー殴るだろ。100歩譲って吊るすだろ。なんだよ、ありがとうって」
どうやら最後に私が、嵐くんにかけた言葉に対し納得がいかないらしい。
それにしても吊るすって…!?
ロープでどこかのビルの屋上に吊るされた嵐くんが、カラスにつつかれているのを見て高笑いする魔王――という図が一瞬で頭の中に映像化されたのを慌てて打ち消す。
「だ、だって、嵐くんすっごく反省してるみたいだったし」
「反省すれば何してもいいのか?もしアソコであいつの計画がバレてなかったらホントにやべーことになってたかもしれねーんだぞ」
「そ、それは…そうかもだけど…」
たしかに聞いた瞬間はすごくショックだったし怒りもあった。だけど
「宝示さんがすごい怒ってくれたから。なんか私は、それで満足しちゃったっていうか…」
…あれ。魔王からの返答がない。
そっと視線をあげて魔王を見ると、なぜか魔王は顔を真っ赤にしていた。
「…え。どうしたんですか急「なんでもねーよ!!!」
私の言葉に被せて声を荒げる魔王。
「ただ…お前チョッロすぎ、て思っただけだ」
「…まあ、たしかにチョロいかもですよね」
嵐くんの策略にだって、全く気づけなかったわけだし。