ツンデレ魔王様と同居生活はじめます。
その女の子の前で足を止めた魔王が、いつもよりも数段低い声で言った。
「なんの用だ、呉葉」
「暁、ほんとにここにいたんだー?暁が通ってるにしてはあまりにショボすぎるから、間違えた~って思ってたのに!」
魔王とは対照的に、明るい声を出す女の子。
ていうかこの2人、知り合い…!?
「ここは一般生徒の昇降口だ。特別クラスの校門は別にある」
魔王の隣から、淡々と説明する宮前龍太郎。
「あ、龍太郎じゃん、久々~!てかそっか、別なんだ~。じゃあ暁、そっちに案内してくれるっ?」
ピョンピョン弾むような声でそう言って、魔王の腕に絡みつく女の子――呉葉さん。
ていうか…この子、魔王の腕に…!!
ざわっ、と私含む一般生徒たちがざわめいた。
あんな明らかに不機嫌そうな魔王に、あんな軽薄なボディタッチって…!
「あはっ、あの子打ち首獄門っ?」
なんて佑奈が楽しそうに言ってるけど、今の魔王のただならぬ闇オーラなら、近いことをやりかねない!?
なんて恐れおののく生徒一同の前で
「一人で行け」
魔王は乱暴にその腕を振り払った。