ツンデレ魔王様と同居生活はじめます。
「え、なっ…なんで私!?」
「だってここは、りのちんの家でもあるわけじゃん?」
「いやいやいや!私は一介の召使いですし!そんな権利ないですし!!」
「まぁまぁ遠慮しないで~」
遠慮してないですし!!!
だけど空気が読めないのかそれともわざと読んでいないのか、宮前龍太郎に強引に2人の間に立たされて。
魔王と呉葉さんの視線が突き刺さる。
「……おい」
魔王の低い声に鼓膜が震える。
「わかってる、よな…?」
いつもに増して鋭い視線に恐怖で体も震えてる。
これは呉葉さんの同居を断れ、ってことだよね…?
「…あ、あのー。申し訳ないですがまだ布団の用意もできていないですし、とりあえずお引き取りを…」
「りのちん」
その時宮前龍太郎が、コソッと私の耳元で囁いた。
「クレピョン、こう見えてかなり繊細な子でさ…家でも色々あったみたいで。仮にも暁の婚約者だし、ここはひとつ、頼めない…?」
え、そうなの!?
もしかして、私を生ゴミみたく睨みつけるこの視線も、寂しさの裏返しだったり…?
そう思ったら、魔王が怖いからという自己保身の理由だけで同居を断ろうとしている私が、ひどく冷酷な人間に思えてきて。
「…いいですよ!同居!!」
気づいたらそう返事していた。