ツンデレ魔王様と同居生活はじめます。
一般棟と特別棟は一応同じ学校内のくせに結構距離があって、広い庭園を突っ切らなくてはいけない。
暗黙の了解で一般の生徒は特別棟には近づかないし、私ももちろん近づいたことはなかったから知らなかったんだけど、
明らかに庭園の様子が特別棟に近づくにつれて華美になっている…!!
必要以上に咲き誇っている薔薇!
天使がラッパを吹いているなんかいい感じの噴水!
なぜかオシャレなキッチンカーまで来てるんだけど…!?
特別棟に近づくにつれ、当たり前だが段々と特別クラスの生徒が多くなってきた。
一般の生徒と、特別クラスの生徒が着る制服はほぼ同じだが、一つだけ大きな違いがある。
それは、特別クラスの生徒にだけ付与される純金のバッジ。
これは、多額の寄付と優れた家柄であるという、“特別な者”である証。
特別クラスの生徒はみんなこのバッジを襟元につけているから、一目でわかる。
逆に、このバッジをつけていない生徒はすぐに一般人だとバレる。
「あの子一般の子でしょ?なんでこんなところにいるの?場違いー」
「迷い込んだんじゃない、すぐに出ていくでしょ」
特別クラスの皆様から注がれる不躾な視線が痛い…これは早く呉葉さんを探さないと。
小さく縮こまりながら、早足で校舎に向かおうとしたとき、
「ここから先は立ち入り禁止だ」
「わっ…宮前龍太郎!?」
私の行く手を長い腕で阻んだ宮前龍太郎が、冷たい瞳で私を見ていた。