ツンデレ魔王様と同居生活はじめます。





「魔王!?!?って危なっ…」




ヒラリと魔王が落とし穴の中に飛び込んだ。



華麗に私の隣に着地して、呆れた視線を向けてくる。





「死ぬほど電話したんだけど」



「…え…あ、ご、ごめんなさい。充電切れてて…」



「…そこまで前と同じかよ…」





はあ、と深いため息をつくと、すぐに真剣な瞳になって





「…おい」





私の足にそっと触れた。




すごく優しく触れられただけなのに、痛みが走って思わず顔をしかめる。




「折れてんな」




険しい顔をした魔王が私を真っすぐに見据えた。





「…いつからだ」



「え」



「いつからこーゆうこと、されてる?言えよ」



「そ、れは…」





ヒュー…ドンッ!!





その時また花火があがった。




今日いちばん、大きな花火。そろそろラストが近いんだろうか。





「…綺麗」


「だな」





思わず漏れた私の言葉に魔王も頷く。





それが妙におかしくて。






「何笑ってんだよ。お前この状況わかってんの?」




「うん、ごめん。だけどよかったなって。何はともあれ一緒に花火が見れたから」







ヒュー…ドンッ!!!!!







また花火があがる。





だけど私も、魔王も。今度は花火を見ていなかった。






「好きです、宝示さん」





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