ツンデレ魔王様と同居生活はじめます。
キラリと、月の光に反射して
魔王の瞳が濡れたように光っていた。
後頭部をそっと引き寄せられて、目を閉じる。
…ほんとう、なんだ。
私は魔王のことが好きで、魔王も、私のことが――
「おやまぁ、こんな所にいましたか」
突然降ってきた声に驚いて顔をあげると
見たことのないおじいちゃんが、穴をのぞきこんでいた。
「昔っからかくれんぼが得意ですねえ、坊ちゃんは」
坊ちゃん!?
…って誰のこと!?
ていうか、なんかヘリコプターらしき音が近づいてくるような…?
「…お前が来たってことは、アイツか」
隣にいた魔王が、苦々しくそう言った。
アイツ…?
というか魔王とこのおじいちゃん、知り合い?まさか坊ちゃんって…
「自分の御父上のことをアイツとは、変わってませんなあ。
暁坊ちゃんは」
ヘリコプターの光を背後に背負って
おじいちゃんがにっこりと、笑みを深めた。