ツンデレ魔王様と同居生活はじめます。
「おや。拉致という言い方は少々語弊が?
せっかく落とし穴の中から救出して差し上げたのに」
「それはたまたまだろ。
俺になんか話があって来たんだろーが」
「さあ?私は坊ちゃんを迎えに行くよう、命じられただけですから」
にこにこ笑みを浮かべたままの東雲さんに、チッと魔王が不機嫌そうに舌打ちをする。
「…りの。足大丈夫か?」
「あ、うん、まだ痛いけど少しおさまってきた…折れるまではいってないかもしれない」
「…そっか」
ほ、と息を吐き出した魔王が突然、ぎゅっと手を握ってきた。
「え、なに…!?」
「りののこと俺が絶対守るから」
「う、うん…」
魔王は険しい顔をしたまま、じっと前を見据えている。
東雲さんの話から、魔王の家に向かってるってことは分かったけど…一体、何が待っているんだろう。