ツンデレ魔王様と同居生活はじめます。
「突然何の用ですか?わざわざ東雲に合宿中に迎えにこさせるなんて」
「悪いな、俺が今日しか時間が取れなかったんだ。明日からまたしばらくニューヨークへ行く」
男の人が振り向いた。
…魔王に、よく似てる。
魔王の鋭さが少しとれて、年齢とともに丸みを帯びたような感じだった。
「楽しいか?家出生活は」
「…まあそれなりに。
こんなに無駄に広い家なんて、別に生きる上で必要ないってことがよく分かりました」
…なんかピリピリしてるのは、たぶん気のせいではないだろう。
だけど部屋の隅に控えた東雲さんだけが、まるで普段と同じようにニコニコしていた。
「ふ、そうか。楽しいなら何よりだ。東雲」
「はい」
東雲さんがゆったりと歩いてきて、私と魔王の近くにあった机の上に、何かを置いた。
サッと魔王の顔色が変わる。
「…なんだよこれ」
それは、学校で拡散された、私と魔王がアパートの部屋に入るところの写真だった。
もしかして、私と魔王がここにつれてこられた原因って…。
「…お前か」
魔王の、地を這うような低い声。
「お前がこんな写真撮らせたのか」