ツンデレ魔王様と同居生活はじめます。





「今回は俺の勝手な…独断で、やったことです。暁は関係ありません」



「俺に意見するのか?」



「…いえ。失礼します」






魔王のお父さんに頭を下げると、宮前龍太郎は去り際に一瞬、私を見て。



魔王には不自然なほど、少しも視線を向けずに




部屋を出ていった。





「暁」





魔王のお父さんが抑揚のない声で魔王に呼びかける。





「お前に隙があるからこんなことになるんだ。あんな格下のたかが病院の息子に嵌められて」



「………」



「こんな写真がバラまかれて、しかもどこぞの小石のような娘と」





小石って…もしや、というか絶対に私のことですか、お父様…?





――なんか違う。




そりゃ私は、こーんなすごい家に住んでる大金持ちの魔王一族から見たら




城下の最北端のアバラ小屋に住んでるような、冴えない村人だろうけど





冴えない村人だって



病院の息子だって





「…得体の知れないものだって、意外と食べたらおいしかったりするもんですよ」





< 319 / 336 >

この作品をシェア

pagetop