ツンデレ魔王様と同居生活はじめます。
「今回は俺の勝手な…独断で、やったことです。暁は関係ありません」
「俺に意見するのか?」
「…いえ。失礼します」
魔王のお父さんに頭を下げると、宮前龍太郎は去り際に一瞬、私を見て。
魔王には不自然なほど、少しも視線を向けずに
部屋を出ていった。
「暁」
魔王のお父さんが抑揚のない声で魔王に呼びかける。
「お前に隙があるからこんなことになるんだ。あんな格下のたかが病院の息子に嵌められて」
「………」
「こんな写真がバラまかれて、しかもどこぞの小石のような娘と」
小石って…もしや、というか絶対に私のことですか、お父様…?
――なんか違う。
そりゃ私は、こーんなすごい家に住んでる大金持ちの魔王一族から見たら
城下の最北端のアバラ小屋に住んでるような、冴えない村人だろうけど
冴えない村人だって
病院の息子だって
「…得体の知れないものだって、意外と食べたらおいしかったりするもんですよ」